5月末ごろから、スーパーの店頭でも青梅が並ぶようになりますよね。
並んでいる青梅を見かけると「梅酒をつけてみようかな」と思う方も多のではないでしょうか。
でも、普通にホワイトリカーで漬けるのもちょっと物足りないですよね。

漬け込むお酒を変えてちょっとアレンジしてみたい!

そんな方に、漬け込むお酒のアルコール度数にちょっとご注意いただきたいのです。
使用するお酒によっては酒税法違反になってしまう可能性あるんです。
今回は、楽しく決まりを守って自家製梅酒作りをするために「酒税法」のお話をしたいと思います。
- 手作り梅酒に酒税法違反の可能性がある?
- 酒税法を守って梅酒を手作りする方法
- 自家製梅酒作りにOKなお酒・NGなお酒
- 基本的な梅酒の作り方

手作り梅酒に酒税法違反の可能性!?

実は、アルコール度数20%以下のお酒で梅酒などの果実酒を漬け込むと、酒税法の違反になってしまいます。
酒税法は、簡単に言うと酒税の賦課徴収、酒類の製造及び販売業免許等について定めた日本の法律です。ここで言う「酒類」とは、アルコール分1度以上の飲料を指します。
酒税法では、酒類と何かを混ぜる行為は「新たな酒類を作る」、とみなされるため、青梅にお砂糖とお酒を入れて梅酒を作る行為は、「新たな酒類を造る」という行為に当たるのですね。
とは言え、自家製梅酒すべてが酒税法違反となるわけではありません。
個人で楽しむ分にはOKとされていますが、酒造免許がない状態で梅酒など自家製の果実酒などを作る際は、守らなければならない決まりがいくつかあります。
次の項目では、酒税法を守りながら自家製梅酒を楽しむ方法をご紹介します。
酒税法を守って自家醸造をするには?
簡単にまとめると、自家製梅酒作りで守るべきポイントは下記の3つです。
- アルコール度20%以上のもので漬ける
- 販売してはいけない
- 米、麦、トウモロコシやぶどうなど、禁止されているものは混ぜない
国税庁のHPにある「お酒に関するQ&A]では、手作り梅酒について下記のような返答があります。
Q1 消費者が自宅で梅酒を作ることに問題はありますか。
A 焼酎等に梅等を漬けて梅酒等を作る行為は、酒類と他の物品を混和し、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされますが、消費者が自分で飲むために酒類(アルコール分20度以上のもので、かつ、酒税が課税済みのものに限ります。)に次の物品以外のものを混和する場合には、例外的に製造行為としないこととしています。
また、この規定は、消費者が自ら飲むための酒類についての規定であることから、この酒類を販売してはならないこととされています。1 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
2 ぶどう(やまぶどうを含みます。)
3 アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
根拠法令等:
国税庁ホームページより
酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項
アルコール度数が高いと酵母の働きを抑制してくれますが、アルコール度数20%以下だと発酵してしまい、アルコール濃度が上がってしまう可能性があります。1%でもアルコール度数が上がると、酒類を製造したことになってしまうんですね。
米や麦、ぶどうなどを一緒に漬け込むことが禁止されているのも、発酵しやすいことが理由に挙げられます。日本酒や焼酎、ワインなどの原料を考えると納得ですね。
また、アルコール度数が低くなると雑菌が繁殖しやすくなるので、衛生面からもアルコール度数は20%以上の酒類で漬けることが推奨されています。長期保存を考えているのであれば、35%以上のお酒で漬け込みましょう。
自家製梅酒作りにOKなお酒・NGなお酒


じゃあ、どんなお酒でつけこんだらいいの?
と、お困りの方に向けて、梅酒作りにおすすめのお酒と、NGなお酒をご紹介いたします。
自家製梅酒作りにOKなお酒は?
梅酒作りに使用できるのは、下記のようなお酒です。
- 果実酒用のホワイトリカー
- ウィスキー
- ブランデー
- ジン・ウォッカ・ラムなどのスピリッツ
- アルコール度数20%以上の日本酒・焼酎・紹興酒
長期保存する点も考慮すると、基本的にはホワイトリカーなどアルコール度数も35%以上のものが梅酒作りに向いています。

個人的には、ブランデーなど甘みの強いお酒を使うなら、氷砂糖を少し減らすのがおすすめです。
日本酒や紹興酒もアルコール度数15%程度のものがほとんどですが、種類が少ないながらもアルコール度数20%以上のものも販売されています。梅酒作りに使用するのであれば、アルコール度数20%以上のものを探してみてくださいね。
ただ、35%以下のアルコールで作った場合、長期保存には向いていません。35%以下のアルコールで自家製梅酒を漬け込む際は、1年以内に飲み切る量で漬け込んでください。
自家製梅酒作りにNGなお酒は?
梅酒作りに使用できないのは、下記のようなお酒です。
- みりん
- ワイン
- アルコール度数20%以下の日本酒
- アルコール度数20%以下の紹興酒
以前はみりん梅酒などが書籍にも紹介されていましたが、現在では削除されています。ワインなども13%前後ものもが多く、残念ながら自家製梅酒作りに使用できるものはありません。
日本酒や紹興酒もほとんどのものが15%前後ですので、使用できない物の方が大半です。
基本的な梅酒の作り方

最後に、基本的な梅酒の作り方をご紹介します。
*材料
- 青梅 1㎏
- 氷砂糖 800g
- ホワイトリカー 1.8L
砂糖の量はお好みで調節してください。
甘めがお好きな方は1㎏、辛口がお好きな方は500~600gが目安です。
*準備
- 果実酒用の保存瓶は、熱湯消毒して乾燥させておきます。
- 青梅は水で洗って水分をふき取り、竹串などでヘタをとっておきます。
*作り方
- 青梅を瓶の底に敷き詰め、氷砂糖を優しくのせます。
- さらに青梅、氷砂糖、と重なるように入れていきます。
- ホワイトリカーを注ぎます。
冷暗所に保存しておけば、6ヵ月後から飲むことができます。梅の実については、一年後に取り出す方が多いですが、梅酒が濁ったりしていなければ漬けたままでも問題ありません。
今回はホワイトリカーをご紹介しましたが、もちろん他のお酒でも大丈夫です。ウィスキーやブランデーなどで漬け込む方などもいらっしゃいますね。


今年我が家では、ウィスキーで漬け込みました。
梅1㎏、氷砂糖800g、ウィスキー1.8Lで4Lサイズの果実酒瓶ぴったりです。
手作り梅酒に酒税法違反の可能性? まとめ
自家製梅酒づくりのポイントは
・自家製梅酒にはアルコール度数20%のお酒を使う
という点です。
個人で楽しむ自家製梅酒でも、守らなくてはならない決まりがあるんですね。この個人で楽しむ、ということについも基本的には同居家族までとなっており、不特定多数の人には無料であってもふるまうのは避けた方がよさそうです。
「酒税法」を守って楽しく自家製梅酒を作りましょう!
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